もともと脳天気なところがあるせいか、陽光溢れる明るい絵ってのが好みですね。
エドワード・ホッパーの絵のように「サングラスが必要だ」なんて言われてみたい。
で、風景画も今までずっと日の光を意識して描いてきました。
順光であれ逆光であれ、主役は太陽の光と影。
これが自分の芸風であったわけです。
たまたま前回、新たなチャレンジとして「紫陽花」を描かせていただきました。
これは静物画として花を描いたんですが、非常におもしろかった。
じゃぁ、未経験のものももっとチャレンジしてみるか!ということで描いたのが「雨の風景」。
光が強いと影も濃い。
要するにコントラストが強いわけですが、影を黒く塗り込めることで対象が浮かび上がります。
形がはっきりするわけですね。
逆に言えば、暗い部分のディティールはわからない。つまり描かなくていい。
これ、ある意味楽なんです。
ところが雨や曇りの風景だと、当然ながら日の光は弱い。影も濃くならない。
ものの形を際立たせるのが難しい。ディティールもしっかり描かなくてはならない。
遠景は雨に煙る。空気遠近法をさらに強調したような表現になる。
ということで、試行錯誤しながらも腰を据えて描いてみました。
場所は柳瀬川にかかる歩道のみの橋。
橋の向こうは大きなショッピングセンター。
ふだんは河原でのバーベキューやランニングする人、ショッピングセンターへの買い物客で喧噪ある場所。
ところが雨だと人の声はおろか人影すら見えない。
聞こえるのは雨音だけ。
そんな雰囲気を表現したかったですね〜。
あと、今回もボタニカル紙を使用したのですが、多色で混色して輪郭をぼかしていくと、そのままで水彩のようなタッチになることを発見。
これはケント紙とは違うおもしろい効果でしたね。意外に良いかも。
「五月雨 新座市大和田」

サイズ A3(297mm×420mm)
制作日 2013年6月
支持体 ハーネミューレ・ボタニカル紙
画材 カリスマカラー・三菱ペリシア