2013年06月30日

色鉛筆。雨の風景を描いてみる。


もともと脳天気なところがあるせいか、陽光溢れる明るい絵ってのが好みですね。
エドワード・ホッパーの絵のように「サングラスが必要だ」なんて言われてみたい。

で、風景画も今までずっと日の光を意識して描いてきました。
順光であれ逆光であれ、主役は太陽の光と影。

これが自分の芸風であったわけです。

たまたま前回、新たなチャレンジとして「紫陽花」を描かせていただきました。
これは静物画として花を描いたんですが、非常におもしろかった。

じゃぁ、未経験のものももっとチャレンジしてみるか!ということで描いたのが「雨の風景」。

光が強いと影も濃い。
要するにコントラストが強いわけですが、影を黒く塗り込めることで対象が浮かび上がります。
形がはっきりするわけですね。

逆に言えば、暗い部分のディティールはわからない。つまり描かなくていい。
これ、ある意味楽なんです。

ところが雨や曇りの風景だと、当然ながら日の光は弱い。影も濃くならない。
ものの形を際立たせるのが難しい。ディティールもしっかり描かなくてはならない。
遠景は雨に煙る。空気遠近法をさらに強調したような表現になる。

ということで、試行錯誤しながらも腰を据えて描いてみました。
場所は柳瀬川にかかる歩道のみの橋。
橋の向こうは大きなショッピングセンター。
ふだんは河原でのバーベキューやランニングする人、ショッピングセンターへの買い物客で喧噪ある場所。

ところが雨だと人の声はおろか人影すら見えない。
聞こえるのは雨音だけ。

そんな雰囲気を表現したかったですね〜。

あと、今回もボタニカル紙を使用したのですが、多色で混色して輪郭をぼかしていくと、そのままで水彩のようなタッチになることを発見。
これはケント紙とは違うおもしろい効果でしたね。意外に良いかも。

「五月雨 新座市大和田」
20130630.jpg

サイズ A3(297mm×420mm)
制作日 2013年6月
支持体 ハーネミューレ・ボタニカル紙
画材  カリスマカラー・三菱ペリシア
posted by Ryota at 14:32| Comment(6) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年06月26日

色鉛筆。季節の花を描いてみる。


人によって得意な画題ってありますよね。

ご存知のように私の芸風は日常的な風景画にあるわけです。
ただ、いつも同じ風景画ではさすがに飽きるわけで、その時には飛行機描いたりまれに人物描いたりしています。

そんな中で一度も描いたことないのが「花」。

風景画としては桜を主題に描いたことはありますし、人物画のバックに花があるのも描いたことはあります。

でもいわゆる主題としての花は描いたことがない。

なぜなら、全く私に似合わない。わはは。

実際、花、知らないですしね。桜とチューリップとひまわりくらいしか区別付かんぞ。

そんな中でもさすがに「あ〜この花なら知っているぞ」というのが「あじさい」。

まぁ、季節柄もぴったり。

Facebookでお知り合いになることのできたSさんが、実に粋な生け方をされているあじさいをご自分のページにアップされていました。

見た瞬間、「あ〜、これ描いてみたい!」となりまして、お願いして角度を変えて撮影していただいた写真を数枚送っていただきました。

それを頭で再構成して描いてみたのがこの絵。

どちらかというと花そのものより構図や配色に気を使いました。

全体的に左下に主体を置いているのは、花そのものが中心にくるように配置したということもありますが、できれば大きい空白を活かして空気感のようなものを出したかった意図もあります。

また、バックの処理も最初は写真の背景にあった「赤」で処理をしていたのですが、どうも花自体と喧嘩しそうなので、塗った後からやり直し。
すべて消しゴムで一度赤を除去してから「黒」で塗り直しました。

黒にしたおかげでより花が際立つようになりました。

雨の一日の静寂さ、落ち着き、そんなものが表現できていると良いなと思います。

「Rain Song」
20130626.jpg

サイズ A3(297mm×420mm)
制作日 2013年6月
支持体 ハーネミューレ・ボタニカル紙
posted by Ryota at 07:47| Comment(6) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年06月21日

色鉛筆。都会の路地を描く。


最近、逆光的な光が醸し出す影がすごく面白くて、風景画描くとどうも逆光気味になっちゃってますね。

今回の一枚もそんな感じ。

6月初頭の週末、久し振りにゆっくり休みが取れたので、行きたかったところへ。

まず、最初は東急BUKAMURAで開催中だった「アントニオ・ロペス展」へ。

IMG_2061.jpg

スペインの偉大なリアリズム絵画の巨匠。

かねてから見たかった人なのですが、ようやく日本でも展覧会が開かれ、その原画を目にすることが出来ました。

何となく絵の方向性が私と同じような所を見ているようで、大変に勉強になりました。

その後は、これも見たかった太田記念美術館で開催中の「北斎と暁斎−奇想の漫画」展。

北斎も大好きな絵師ですので、何か企画展などがあると必ず足を運びます。

今回は河鍋暁斎との共同展示。河鍋暁斎も好きな絵ですのでなかなかに美味しい企画。

こちらも充分堪能しました。

太田記念美術館は浮世絵専門の美術館ですが、原宿とは思えない落ち着いた一角にあり、雰囲気も非常に落ち着きます。
まだ行かれたことのない方は是非。

IMG_2062.jpg


さて、こんな具合に渋谷〜原宿をおっさんのくせにウロウロしたものですから、ちょっと青山あたりまで足伸ばして色々とロケハン。

都会の細い路地を歩いていると、近代的なビルのガラスに写る空や光が美しい。

それを描いてみたのがこれ。場所の特定は比較的簡単かな。
例によってボタニカル紙に描いております。

「都会の路地 港区南青山」
20130621.jpg

サイズ A3(297mm×420mm)
制作日 2013年6月
posted by Ryota at 07:33| Comment(5) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年06月15日

色鉛筆。油性色鉛筆で水彩っぽく描いてみる。


教室やっていますとね、参加されている方から「もっと簡単なヤツをFacebookやBLOGにアップして」と言われることがあります。

まぁ、確かにね。

細かく描き込んだ風景画や飛行機画ばっかりじゃなくて、素描に近いものでも良いかなとも思っています。

で、せっかくB5サイズのヴィフアールも買ったことだし、チャチャッと描いちゃうか。

何描こう?

自分の撮った写真フォルダをボーッと見ていると、ふと目にとまった一枚。

2004年まで乗っていた私のバイク。YAMAHA DT230LANZA。

あ〜、これ描くか!

チャチャッとね。

バイクの中免取って以来、ずっとオフ車が好きでした。
本当はフルサイズのトレール車に乗りたかったんだけど、なにせ身長160cmの小さいおっさん。
2ストのエンデューロマシンレプリカやモトクロッサーレプリカはとても無理。
だってシートにまたがったら片足のつま先すら届かない・・・orz(シート高が900mmくらい)

で足つき性から、ずっとYAMAHAのセローに乗っていました(シート高820mm)。

セローも結構気に入ってライトや外装を改造したりしながらずっと乗っていました。
若干パワー不足も感じて、エンジンのボアアップもしたなぁ。

そんな中、1997年に発表されたのが2ストトレールのLANZA。
小ぶりで足つき性も良く、動力性能も2ストらしい高馬力と俊敏さ。
シート高は860mmながら、ほどよく乗車するとサスが沈み足が付く。

迷わず乗り換えましたね。
ところが交差点の右直事故でフロントを総取っ替えすることになり、その時に外装系やライト周りに手を入れて改造。
ハンドルもレンサルのアルミに換えたり、ハンドガード付けたり。
まさに自分仕様の一台に育てていきました。

でもロードバイク(自転車ね)にも乗るようになると自転車と行動半径はあまり変わらないことが判明。
ロードバイクでも普通に一日100km走れちゃう。
レースやツーリングなども自転車になっていく生活。

しばらく暇見つけてLANZAも乗っていましたが、だんだん乗る機会が減っていくことに・・・。
クルマもあるので保険は2倍。維持費もきつくなってきました。
乗らないで腐らせるよりは、他の人にガンガン乗ってもらった方がコイツも幸せだよな。

で。ついに2004年に手放しました。

もうバイクに乗らなくなって10年近く。
排ガス規制のせいで2ストオフ車も今ではすっかり見かけることも少なくなりました。

それでも時々思うことは・・・機会あったらまた乗りたいなぁ。

そんな思いで描いていたら、簡単に・・・どころかどんどん描き込んじゃって(笑)。

ただ、描いている最中に、「今描いているのは水彩紙だよな」と気づく。

実はボタニカル紙に描きはじめていたんですけどね(細かく描き込む気、満々)。

じゃぁ、ちょっと水彩テイスト入れてみよう!

ということで、今回バックの処理は水彩風に描くことに。

当然使っている色鉛筆は水性色鉛筆ではなく油性の色鉛筆ですから、水ではぼかせない。
(油性をぼかせるメルツという溶剤もありますが、使いません)

あくまで水彩風に色鉛筆で描く!

水で垂れたように描く!

筆跡も細かく描く!

で、結局こんな絵になっちゃった(笑)。

いつもと同じやんけ!!

「YAMAHA DT230LANZA in my heart 1997-2004」
20130615.jpg

サイズ A3(420mm×297mm)
制作日 2013年6月 
posted by Ryota at 17:30| Comment(3) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年06月12日

色鉛筆。新しい紙を試してみる。


前回のエントリで、サイズを縮小してみようかな・・・というお話をしました。

また、珍しく人物画を描いたときに、思いつきで水彩紙のヴィフアートという紙を使ってみました。

いつも使っている紙はKMKケントという製図やデザインに使うことの多いケント紙です。

ケント紙を使用する利点は、
1 表面が非常に滑らかなため紙の凸凹による筆致が残らない。
2 デザインナイフでひっかく「スグラフィート技法」が紙へのひっかかりが少ないのでやりやすい。
3 紙の価格がリーズナブル。
などがあります。

反対に欠点は、
1 表面が平滑なため、顔料の乗りが悪い。
2 そのため完成後の画面保護が難しい。
3 多色による混色に慣れが必要。
などですね。

欠点については慣れと工夫で克服できますので、今まであまり紙を換えることは考えませんでした。
逆に細密な絵を描くには大変適しているという利点が遙かに大きい。

ところが、前回人物画をヴィフアールに描いてみると、混色する場合に紙に深く顔料が入るせいか、若干ケント紙よりも色に深みがでるような感じがしました。

そこで、試しにケント紙以外をちょっと試してみることに。

この場合、一番の障害は紙のお値段。

私のような芸風ですと、かなり細密に描きたいので「粗目」の紙は向かないので、どうしても「極細目」や「細目」の紙が必要です。

そうするとね〜。お高いんですよ。

今まで描いてきたF8号やP10号のサイズですとケント紙の倍以上する紙もあります。

高級水彩紙で有名な「アルシュ」なんかだと、360mm×510mmのブロックで軽く12,000円超えます。使ってみたいなぁ。

ヴィフアールは前回使ったしな〜。他にも試してみたいな〜。

そこで、色々と迷った結果、
ドイツのハーネミューレから出している「ボタニカル紙」を使ってみることに。

この紙でもF8サイズだとブック(20枚綴り)で4,500円超えちゃうんで、私に合わなかった場合を考えるとちょっと高価。

ちょうどサイズを少し小さくしてみようかなと思ってこともあり、A3サイズをチョイス。これだとブックで3,000円弱。

IMG_2302.jpg

で、描いてみました。

結構大きいサイズに慣れていたせいか、小さいとやっぱりどんどん描ける。

ほぼ3日間、都合10時間くらいで描けちゃった。

場所は5月に行った江ノ島の風景。

海に向かう路地をまた海を描かずに描いちゃった。

懸念されていたデザインナイフの使い心地ですが、やっぱりひっかかりが大きいものの、慣れれば何とかなるかなレベル。

かなり滑らかな部類の水彩紙ですが、さすがにケント紙ほどは滑らかではなくかなり描いていて筆圧強くしないと顔料が入っていかない。

そのかわり混色するとかなり深みが出る感じです。

何より紙が厚い(190g/m2)のが妙に安心感がある。

さて、紙を換えてなおかつ描画サイズはP10号(530mm×410mm)からA3(420mm×297mm)にサイズダウン。

モニターではサイズ変更はわからないと思いますが、見た目はいかがでしょうか?

「海への小道 藤沢市江の島」
20130612.jpg

サイズ A3(420mm×297mm)
制作日 2013年6月
posted by Ryota at 07:58| Comment(4) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年06月06日

色鉛筆。正しい東京の路地を描く。


この間のグループ展用に描いたB2サイズの「ヒマラヤ杉」。

谷中の名物お菓子屋さんの前にある立派な木を描いたのですが、「ヒマラヤ杉と谷中の暮らしを守る会 」のサイトに取り上げていただけました。

この会、土地の売買などで景観保存に危機感抱いた方たちが立ち上げたものですが、私も谷中の景観はずっと残って欲しいですね。
絵描きとして作品がそのお役に立てるのであれば大変光栄です。

さて、今回の絵はそんな谷中の風景から。

もう谷中はどこでも絵のネタになるのですが、ここも谷中霊園のすぐそば。

人通りの多い通りからちょっと目を向けると、こんな風情ある路地があったりします。

「自動販売機のある路地 台東区谷中」
20130606.jpg

サイズ P10号(530mm×410mm)
制作日 2013年6月

こういう路地だと、普通は自販機のキツイ原色は台無しになるところですが、私的には何だかおもしろいんだよな〜。
これも東京の正しい姿。

しかしこの絵も止め時が難しかった・・・。
描いても描いても描くところが沢山あるようで。

今年になってからP10号(530mm×410mm)というサイズを中心に描いてきました。
大きい絵(色鉛筆にしては)も楽しいですが、ちょっと今後は少しサイズを小さくしようかな。
小さめのサイズで丁寧に描き込む・・・ってのも良いかもしれないと思う今日この頃。
posted by Ryota at 09:23| Comment(9) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

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