2013年02月28日

色鉛筆。風景画はこうやって描いている!メイキングその1。


pixivなんかに絵をアップしていると、メイキングを見せてくださいなんて要望がけっこうあります。
ありがたいことですね。

一応、これでも絵の描き方を教えている身でもありますし、奥ゆかしくワザを隠すほどのテクニックでもありません。
前にもやりましたが、ここらで一発かなり詳しくメイキングを公開しちゃいましょう。

題して「風景画はこうやって描いている!メイキングその1」


んじゃぁ、早速。

今回は5月のグループ展に向けて、テーマを決めて描いています。
その中から1枚を仕上げるまでリアルタイムで公開しましょう。

サイズはP8号(455mm×333mm)。

ギャラリーの規格で今回はパネルにケント紙を水張りします。
8号以上のサイズであれば、紙だけで描くよりもパネルかケントボードの方が描きやすいと思います。

IMG_1150.jpg

張り上がったパネルに20mm間隔でグリッドを引いていきます。方眼にする要領で。
中心の十字のみベージュ、後の線はブルー系で引いていきます。
IMG_1153.jpg


今回のネタになる風景写真をプリントアウト。

私はAdobe Photoshopでトーンカーブをいじり、明度を変えた物2枚作成しています。
いずれの写真もAdobe Illustratorで15mm間隔でグリッドを引いておきます。
IMG_1155.jpg

15mmグリッドの写真から20mmグリッドのパネルへ・・・。
つまり元の写真から133.3333・・・%拡大した絵をかくわけですね。

このグリッドによって、元写真から比較的正確に絵を描くことが出来ます。
ただし、カメラのレンズ効果で不自然なパースがかかることも多いので、完全に写真を写すことはせず自分なりの感覚で描き変えます。

早速下書きに取りかかります。

以前はグラファイト鉛筆で下書きしてましたが、鉛筆の線が少しでも残ると色鉛筆塗った時に濁るので、今は色鉛筆で下書き。

絵にもよりますがベージュ(Beige)かライトアンバー(Light Umber)使うことが多いですね。
IMG_1156.jpg

所々ダークアンバー(Dark Umber)なども使いながらこんな感じで下書きします。
IMG_1157.jpg

下書きはこれで十分。

早速色を塗っていきます。

どこから塗るか? もうそれはその時の気分次第。

ですが、やはり下地となる色から塗っていきます。

私の場合は黄色系から塗っていくことが多いですね。

樹木、道路、家の壁面や光の当たったコンクリートなど、空以外の場所はほとんど黄色成分を含んでいます。

今回は木々の下地から・・・。ごく普通の黄色(Canary Yellow)で塗っていきます。
IMG_1158.jpg

IMG_1159.jpg

次に道路。

ここは黄色でも良いのですが、影になる部分なので黄色よりも彩度が低めのベージュ(Beige)を塗っていきます。
IMG_1160.jpg

同じように家の壁面も。
IMG_1161.jpg

コンクリート製の壁(塀)も同じように。
IMG_1162.jpg

ベージュ(Beige)の色鉛筆が短くなってきたので描きにくい。そこで瞬間接着剤・・・。
IMG_1163.jpg

新品の色鉛筆に接ぎ木しちゃいます(笑)。
IMG_1164.jpg

これはお尻が平らなカリスマカラーならではのワザ。

さて、今度は道路でも滑り止めのついた場所。かなり赤い色なので、「Terra Cota」という赤茶系の色で塗っていきます。
IMG_1165.jpg

ザクザクとクロスハッチングで。このあたりは意外にラフな感じですよね。
IMG_1166.jpg

パネルをぐるぐる回しながら・・・・。
IMG_1167.jpg

シコシコと塗り込めていきます。
IMG_1168.jpg

道路の塗りむらをクリーム系(Cream)で混色していきます。
IMG_1169.jpg

コンクリート製の壁面も明るい所はクリーム系(Cream)で。
IMG_1170.jpg

IMG_1172.jpg

ゴツゴツしたコンクリートの塊などは、クリーム系(Cream)の上からグレー系(French Gray70%)で表情を付けていきます。
IMG_1173.jpg

他の場所も・・・。
IMG_1174.jpg

ということで、続きは次回!!


posted by Ryota at 19:07| Comment(4) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年02月25日

色鉛筆。遠近法を駆使してみる。


先週の色鉛筆教室の授業で「遠近法」について講義しました。

遠近法もきちんと理解しようとするととても2時間程度の枠では収まらないので、「さわり」というか概略ですけどね。

遠近法も大きく分けると「幾何学的遠近法」と「空気遠近法」と二つにわけることができます。
「幾何学的遠近法」は1点透視法、2点透視法、3点透視法を使い、定規とドラフターを駆使して設計者や建築士の皆さんがよく使用する方法ですが、簡単に言っちゃえば遠くの物は小さく見えるよ。ということです。
「空気遠近法」はダ・ヴィンチの「モナ・リザ」の背景で有名ですが、簡単に言っちゃえば遠くの物は薄くぼけて見えるよ。ということです。(えらい乱暴な解説・・・ww)

今回の場所は、前々回にご紹介した「おうちに帰ろう 和光市白子」と全く同じ場所。

前回はお稲荷さんを中心に左右の坂道を対比させた絵を描いたのですが、今回は視点を左側の坂道に移して坂道の下に広がる遠景を中心に。
遠景は東武東上線成増駅周辺ですね。何てこと無い住宅地と駅前の商業集積地ですが、こういう視点で見るのもなかなか新鮮です。

本来は前の絵と両方を一枚で描きたいのですが、やはり一枚絵で表現するには無理があり二枚に分けました。

眼下に向かって伸びていく坂道と遠くの建物群。

ここに幾何学的遠近法と空気遠近法が使われています。
普段、私自身遠近法をあまり意識して描くことはないのですが、たまたま授業でやったので何となく意図的に表現するようになっちゃいました。

まぁ、遠近法の理屈なんか知らなくたって良い絵はいくらでも描けますが、その仕組みを知ると何となくまた楽しく描けますね。

「成増遠望 和光市白子」
20130225.jpg

サイズ P10号(53cm×41cm)
制作日 2013年2月
posted by Ryota at 09:14| Comment(5) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年02月18日

色鉛筆。ちょっとノスタルジックに描いてみる。


成人の日に降った大雪でクルマが立ち往生し、やむを得ず駐車させていただいた島忠和光店さん。
ここへは時々買い物に行くんですが、先日もパーツクリーナーやらなんやらを買いに行きました。

ここは埼玉県和光市なんですが、白子川が県境になっておりかなり東京都と入り組んだ状態になっています。

で、島忠さんからちょこっと足を伸ばすと東京都練馬区土支田。

何を隠そう、私が2歳から24歳まで住んでいた所なんですね(生まれたのは兵庫県伊丹市)。

通っていた中学校も本当にすぐそば。
思わずフラフラと徘徊癖が出て、中学校までの通学路を歩いたりして。

実際、通学していたころは何とも思わなかった景色も、卒業後30数年も経ちゃぁ、違った風景に見えるってもんです。




中学校は県境の川沿いにあり、通学路も中学校に向かって下り坂に。

その通学路を歩いて行くと、「あ〜このお寺は変わってないな」「この家は昔のままだな」「ここは全部建て変わったな」と様々な思いが頭を巡り、道は鬱蒼とした木々の中へ。

傍らを通り過ぎたライトバンが下り坂に消えていくと、その先は通っていた中学校。

校庭でクラブ活動でもやっているのか、歓声が聞こえる。

中学校はまだ見えない。

坂を下りきったら、きっと目の前にさらに懐かしい建物が現れるな・・・・。


・・・・みたいにどっぷりとノスタルジーな感覚に浸ったアラフィフおっさんは、即座にカメラであちこち撮影し絵を描き始めると(笑)。

森本草介先生は「私の目にはセピア色のレンズがはまっている」と仰ったそうですが、私の目にも甚だ解像度は悪いようですが若干赤系のフィルターが着いているようで、実際の風景よりすこし赤被り気味に描いております。

実は茅場町にあるレクトヴァーソギャラリーにて、
Graphic Art Exhibition < 2013 >〜響感グラフィックの表現者〜というグループ展出展のお誘いをいただきました。
会期は5 月21 日(火)〜5月25日(土)(※日曜・祝祭日・月曜休廊)でまだ先なのですが、木製パネルに水張りしての納品ですので、旧作を出品するわけにはいかず新たに制作する必要があります。

この絵もそのグループ展向けに描いておりまして、P8号パネルにケント紙を水張りして支持体としております。

今後、この展覧会に向けて制作を続けていきます。

展示はパネルを額装なしで展示しますので、ダイレクトに画面そのものを感じていただけると思います。
ご興味ある方は是非ご来場ください。


「あの日の通学路 練馬区土支田」
20130218.jpg

サイズ P8号(33.3cm×45.5cm)
制作日 2013年2月

Facebookページでもリアルタイムで絵の記事を載せております。ご用とお急ぎでなければ是非・・・。
色鉛筆画家 林亮太 Tokyo Sketch


posted by Ryota at 16:24| Comment(4) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年02月13日

色鉛筆。逆光を描き倒してみる。


前々回に描いた「吹上観音 和光市白子」の場所から、200mほど坂を登って行くと実に良い風景が現れます。

このあたりは武蔵野崖線と白子川沿いの低地が入り組んでおり、高低差がたくさんある地形。

そこに武蔵野を思わせる雑木林がまだあちこちにあり、東京(東京近郊)とは思えないのどかな風景が広がります。

吹上観音のある交差点から、ちょうど笹目通りと白子川に挟まれるように道が伸びています。

そこからちょっと台地の方へ坂道が伸びているのですが、まさに私を誘っているかのような道。

フラフラと上がっていくと、ふつ〜の住宅地なのですが実に魅力的。

さらに歩いて行くと、右手が上り坂、左手が下り坂(こっちがもとに道に戻る)の三叉路。

しかも分岐点の森にはお稲荷さん!

森の木立には背後から傾きかけた陽が注ぎ、鳥居や木の幹にキラキラと反射している。

これを描かずに何を描くのか??と、小一時間・・・・ww


逆光のなかでは正面に見える物体がほとんど影になります。

で、輪郭にうっすらとハイライトが現れる。これをデザインナイフでそぎ落とすようにラインを入れて表現します。

アスファルトの微妙な凸凹やマンホールにも光は反射します。

葉も陽を受けているところはほぼ白に近い黄色に反射しています。

これらも黄色をベースに塗り、その上からグリーン、ダークアンバーで影を付けた後デザインナイフで処理。

影とハイライト。これを交互に描いていくことで逆光の表現をしています。

夢中で描いた一枚ですね。


このあと左の坂を下りておうちに帰りました。


「おうちに帰ろう 和光市白子」
20130213.jpg

サイズ F8号(38cm×45.5cm)
制作日 2013年2月
posted by Ryota at 08:43| Comment(3) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

2013年02月06日

色鉛筆。細い棒をたくさん描く。


風景画を描くためにはネタとなる風景を見なければ描けません。

勉強のためや練習であれば、たとえば絵はがきや雑誌の写真を模写しても良いでしょう。
ただ、展覧会に発表したり、あるいはそこまでいかなくても自分のサイト上でアップして、不特定多数の方に自分の絵を見てもらうのであればやはりその絵はオリジナルでなければいけません。

少なくとも写真を模写するにしても自分で撮った写真、もしくは著作権がフリーのものである必要があります。

で、最近風景画を描くためのロケハンをちょっとサボり気味だったわけですね。

要はネタ切れを起こしておりました。

んじゃぁ静物画か人物画でも描くべかな・・・。と思いつつ過去のロケハン写真データを眺めておったわけです。

そこで目にとまったのが昨年5月頃にロケハンした北区十条あたりの住宅地。

ここの風景は今まで何枚も絵にしているのですが、ちょうど以前描いた絵のすぐそばの階段路地写真がひっかかり、早速それを元に描くことにしました。

いつも絵を描くときにはロケハンしたときのイメージが薄れないうちに描きます。
写真を参考にはしますが自分の目で見たイメージを大事にしたいからですね。

ただ、この時の写真は昨年5月。さすがに記憶も薄れがち。
それでもかなりの枚数撮影していたので、色々と脳内で再構成。

もとの写真がたまたま太陽が陰ったのか、若干日差しが弱い。
せっかくの階段路地なのに、手すりや柵がいまひとつディティールがはっきりしない。
そこで、かなりコントラストを強めに日光を再現してみました。
そうすると棒状の柵や手すりがはっきりして、何とも特徴的な風景になります。
しかし物事はほどほどが肝要で、やたらと棒状のものを描く羽目になりました。

以前描いた絵はこれ。
「青空めざして 北区上十条」
20120528.jpg
サイズ F8号(45.5cm×38cm)
制作日 2012年5月

この階段をあがり、視線を左に向けて見える風景が今回のこれ。
「階段路地 北区上十条」
サイズ F8号(45.5cm×38cm)
制作日 2013年2月
20130206.jpg

この絵の一番手前に描かれている白い手すりが、「青空めざして・・」の向かって右側の手すりです。
連作ではないですが、2枚続けて見ても面白いですね。

こういう棒状のものをたくさん描くときは、前々回のお稲荷さんもそうですが遠慮無く定規使います。
特にハイライト入れるために削るには必須ですね。

しかし棒が多いな・・・(笑)。

Facebookページでもリアルタイムで絵の情報を発信しております。どうぞご覧ください。
http://www.facebook.com/ryota884tokyosketch
posted by Ryota at 09:21| Comment(4) | TrackBack(0) | 色鉛筆画/イラスト

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